2013年4月18日木曜日

ビデオカードを2枚挿せるように改造してマルチモニタ

普及価格帯のメーカー製デスクトップパソコンは通常グラフィック用スロット(PCI Express x16)が一つしかない。多画面環境を構築するためにビデオカードを複数枚挿したくても、空いているのは PCI Exprss x1PCI スロットであり、2枚挿しは不可能だ。

一般に考えられる選択肢は二つ。多画面出力のビデオカード1枚で済ますか、PCIEx1用またはPCI用のビデオカードを追加するか。前者は値段が高すぎる(例、Nvidia NVS 510)か、使い勝手が悪すぎる(例、玄人志向 GF-GT610-QUAD/4DVI 2画面でビックモニタ1枚相当)。後者は旧規格のパソコン用に細々供給されているだけであり、食指が伸びない。

実はあまり知られていない第三の選択肢がある。PCI Express は上位・下位互換性があり、x16 x8 x4 x1 とスロットの形状は数あれど、どれをどこに挿しても基本的な動作はする(無印のPCIは別物だから互換性はない)。PCIEx16用のビデオカードをPCIEx1スロットに挿してもかまわない。問題はPCIEx1のスロット形状。x4 x8のスロットは上位互換のカードを挿せるようにスリットが入っているのに、x1のスロットにはスリットがない。

対処法は二通り。PCIEx1スロットを加工するか、ビデオカードを加工するか。スロットを加工する場合は長いレーンのカードを挿せるようにスロットに切込みを入れる。ビデオカードを加工する場合は短いレーンのスロットに収まるようにビデオカードの余分なピンを切り落とす。どちらの方法が好ましいかはマザーボードとビデオカードのどちらを傷つけたくないかによる。難易度でいえばビデオカードの加工のほうが簡単だ。汎用性で言えばPCIEx1スロットを加工するほうがいい。スロットを加工すれば次からはどんなカードでも挿せる。

PCI Express x1 スロットを切り込む

ビデオカードを加工する場合についてはこちらに譲り、ここではPCIEx1スロットの加工を試みる。失敗リスクを最小限にするにはスロットを棒ヤスリでゴリゴリ削るのがよかろうが、途方もない時間がかかりそうだから、わたしは半田ゴテを当てるという乱暴な方法を採用した。

改造するパソコンは2009年製デル・ボストロ220ミニタワー(Dell Vostro 220 Mini Tower)。CPUは Core 2 Duo E8500 3.16GHz。XP/7のデュアルブート機。

スロットを半田ゴテで溶かす際に、溶けたプラスチックが内側に入り込まないように注意しよう。これを避けるためスロットにマイナスドライバを挿し込んで溶けたプラスチックの内側への侵入を防ぎ、次いで半田ゴテとマイナスドライバでプラスチックカスを挟んで外側に押し出す。溶けたプラスチックでマザーボードが傷まないようにスロットまわりには紙を敷くといい。なお、下の写真は再現であり、作業中に撮影したのではない。

スロット内のピンを潰さないようにも細心の注意を払おう。自分は作業中にデジカメで何度かマクロ撮影して、ピンの状態を確認した。乱暴でいい加減な作業に見えるが、スロット内のピンがすべて定位置に揃っていれば不格好は問題ではない。実際にビデオカードを挿してみて、しっかり奥まで入れば作業完了だ。

加工後のPCIEx1スロットと、その隣のPCIEx16スロット。これで晴れてPCIEx16用ビデオカードを2枚挿せる状態になった^ ^v。

ビデオカードを2枚挿す

このマザーボードはPCIEx1とPCIEx16が並んであるから、PCIEx1に挿すカードは1スロットタイプでなければならない。2スロット占有のファンレスは残念ながら選べない。

今回選んだビデオカードは ASUS GT640-2GD3ELSA GeForce GT 610。ビデオカードはドライバの競合を避けるため同じものを2枚使うのが望ましいが、GeForce GT 610 は3年半落ちのカードよりもベンチマークが低く、主力がそんなカードでは情けないということでこういう組み合わせになった。同じ GeForce GT6xx シリーズだし、ドライバも同じだから競合は発生しないと思った。

ビデオカードを普通に組み込んだら出来上がり。ハードウェアの設定とか特別な配線とかはない。後は古いドライバを削除し、新しいドライバを入れ直して、マルチモニタの設定をするだけだ。ちなみにASUS GT640-2GD3 は Nvidia Surround 技術に対応しており、基本ソフトがウインドウズ・ビスタ/7の場合は4画面に出力できる。よって、このデュアルブート機はウインドウズXPでは4画面、ウインドウズ7では6画面に出力できる。

取りあえず4画面。6画面にする前にゆらゆら揺れる机をなんとかしなきゃな・・・。

2012年12月31日月曜日

ガラージ・ファントーニの揺れる机
Garage Fantoni GT 1800x800 + GL上下昇降脚

ガラージのファントーニ・シリーズはその頑丈そうな仕様からパソコンデスクとしての人気が高いが、大型天板にT字脚(GT、GL)を組み合わせたときの上下振動は許容できないものがある。このレビューでは以下のT字脚デスク用部材を組み合わせた机を取り上げる。

  • 天板=Fantoni GT 濃木目 幅1800ミリ×奥行800ミリ
  • レール=Fantoni GL 幅1800ミリ天板用
  • 脚=Fantoni GL 上下昇降脚 ※最低高670ミリで固定

デスク用部材は重量のあるよい素材を使っており、組み上がった机からはカタログ通りに頑丈そうな印象を受ける。しかし実際は肘をついただけで天板が沈み込み、キーボードやマウス操作で机がぶるぶる震える。原因はT字脚。重い天板を静止状態で支えるには強度が足りない。天板に微妙な力が加わるだけでT字脚に撓みが発生し、金属特有のバネが効いているような細かい揺れに変換される。長時間作業していると乗り物酔いのように気分が悪くなる。仕事用の机としては失格だろう。

↑不備を指摘された旧動画
↓要望を取り入れて再撮影した新動画

上の動画は天板に24インチWUXGAモニタ2枚(約10キロ)、左右にスピーカー(2.5キロ×2個)の計15キロが乗っている。下の動画は天板に24インチWUXGAモニタ4枚(約20キロ)、左右にスピーカー(2.5キロ×2個)の計25キロが乗っている。

モニタを2枚追加して極端に不安定さが増したということはない。追加されたモニタは天板左右の中央付近にあり、重心が前方に移動したのがよかったろう。本来はモニタ6枚(2段組×3)を乗せる予定でこの机を買ったが、6枚の場合はクランプ式アーム3本を天板後方に取り付ける。アーム1本に10キロ乗せただけで上の動画の体たらくなのに、30キロもの重量が天板の後ろにかかるとどうなるかは簡単に想像がつく。よって現時点では試していない。

商品ページにある「集中荷重140キロでもたわみ0.3%未満」は、天板真ん中のレールに支えられた部分に真上から力を加えた結果だ。「荷重46キロでも横揺れはほぼ変化なし」は、脚のある側に錘を吊り下げた結果であり、横方向に力を加えたのではない。いずれも実際の使用状態に即した試験とは言いがたい。脚にもレールにも支えられていない前後に力を加えた場合の試験結果を出さないのはあざといのではないか。いや、耐荷重80キロ=頑丈そう=重い物を乗せてもビクともしそうにない・・・と、単純に連想ゲームした方が悪いのか。

わたしは組み立てサービスを利用したが、ネジが緩いのではないかと指摘されて改めて締め上げてみた。それで分かったことが一つ。ネジを緩めて天板の揺れがT字脚にまともに伝わらないようにしたほうが揺れの収まりがよい。このことから揺れの原因が組立不良ではなく、T字脚の強度にあることが分かった。

この机、どうしてくれよう・・・。天板だけ再利用してパネル脚の机に作り変えるか。しかしパネル脚だと色違いになるし、なにより高さ720ミリが受け入れがたい。諦めて損切ってしまうのが一番か。この机でゆらゆら揺られているうちに、机から離れたときも揺れている感じが止まらなくなった。T字脚は揺れるとは聞いていたが、揺れるということがこれほど苦痛をもたらすとは想像できなかった。

2013年2月11日増補